傷跡
傷跡とは深い傷の跡や手術の跡などのことです。これを「瘢痕」といいます。
傷の深さや生じた場所により、治った時に「ひきつれ」を起こしたものを「瘢痕拘縮」といいます。
また、傷跡が盛り上がってなかなか平らにならない、赤みやかゆみなどの症状が長期に続くものを「肥厚性瘢痕」と呼びます。臨床的にはケロイドではありません。
通常、どんな傷でも、傷が治ってからもしばらくは硬く、赤みが続き、だんだん柔らかくなってきます。と同時に色も茶色く変化して、そのうち肌色、あるいは白くなって治まります(成熟瘢痕といいます)。この経過は擦り傷でも起こりますし、縫合創でも起こります。その程度・期間は、その時の受けた傷の深さや、場所、肌の色によっても異なり、傷が治ってから約1~2ヶ月ぐらいで最も硬く赤く目立つ状態になります。傷跡が肌色・白くなる迄には約半年から1年くらいかかります。
この目立つ・硬い状態を少しでも早く改善するための治療には、保存的治療を行います。療法としては、圧迫療法、トラニラスト内服、外用薬(薬付きのテープや軟膏)、ステロイド局注などがあります(保険適応)。どの方法を選ぶかはその時の各々の症状によって異なります。
手術的治療は、拘縮によって運動機能障害が生じた場合、瘢痕の幅が広がってしまって醜い場合などに行います(保険適応)。しかし、症状によっては手術療法をしない場合もあります。また、必ず保存的療法を併用します。
自分の傷跡はどうだろう?とお悩みの方は一度診察をお受け下さい。各々の状態にあわせて適切な治療法をお選びします。
尚、これらの方法は傷跡を消す方法ではありません。
あくまでも目立ちにくくする方法だとお考え下さい。